山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

松本美術館のエントランス前の中庭に飾られた巨大なオブジェ。もちろん草間彌生さんの作品です。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

ベンチもゴミ箱も赤い水玉です。近くにある清涼飲料の自動販売機も赤い水玉でした。

半年以上前からきっちりスケジュールを入れてくる悪友を訪ねて、長野県・松本市へ行ってきました。

松本はこれで3回目です。あずさ号を降りて最初に訪ねたのは松本美術館。ここも3回目です。目的はもちろん草間彌生さんの作品を見るためです。草間さんは松本出身で、市内にある松本美術館には草間さんの常設展があり、それをまた観たいと思いまして。前もそうだったと思いますが、今回は新しい展示物が増え、新たな発見がありました。美術館の自動販売機やベンチなども草間さんの水玉で描かれ、そういった遊び心が本当に素敵です。実は市内を走る路線バスも1台だけ水玉になったものがあるそうですが、最初に松本に行った時に家内は見たのですが、今回も私は見逃してしまいました。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

令和元年に国宝に認定された旧開智小学校。和風とも洋風とも言えない、意外なものが飾りに使われていて、「擬洋風建築」とはこういうものなのですね。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

市内にある石井味噌さん。ハトバスツアーで団体が訪れるほどの松本では名店です。3回目にしてようやく行けました。

3度目の松本ですが、まだまだ観るところがたくさんあるのが、この街の魅力のひとつだと思います。今年、国宝に認定された旧開智小学校。明治9年に完成した「擬洋風建築」という文明開花を感じる木造の素晴らしい建物で、中まで見せてくれます。市内の真ん中、松本高等学校の跡地につくられたあがたの森図書館も同じ時代を感じさせる建物でした。

今回、ぜひにとお願いして知人に案内してもらったのは、創業慶應4年、市内にある石井味噌です。杉桶を使い天然醸造で昔ながらの味噌をつくる店で、そこで家内が味噌も買いたかったのですが、ここで昼食に出してくれるランチを食べたくて。三年味噌を使った豚汁に、味噌の焼きおにぎり、それにおむすびにおかず味噌を付けて食べるのですが、これが美味しい。味噌の焼きおにぎりは昔、母親がよくつくってくれたものと同じで、年を取ってくると、豪華なものよりもこういった素朴な味にどうしても惹かれてしまいます。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

大町の山岳博物館に飾られたザック。冒険家植村直己さんが使っていたものです。アルミのパイプフレームで、本体に彼の名前が大きく書かれています。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

昔、使われていた登山靴です。底に鋲が打ち込まれ、滑らないようになっています。実はこの靴は秩父宮殿下がヨーロッパで履かれたものです。

今回の目的のひとつですが、松本の先の大町市にある山岳博物館にも行ってきました。ずいぶん昔、イラストレーターの小林泰彦さんの記事を読んでからずっと行きたいと思っていた場所です。北アルプスの山々の成り立ちや地形、そこに生息する動物の剥製などが飾られた立派な博物館ですが、私の目的は昔の登山装備品を観るためです。化学繊維などができる前にヒトは何を着て、何を履いて北アルプスなどの過酷な山に登っていたのか。興味深いものばかり。いろいろなものが飾られていてとても勉強になりました。

今回はさらに安曇野ちひろ美術館まで足を伸ばしました。『となりのトットちゃん』で広く知られるいわさきちひろさんの作品が多く飾られる美術館で、広々としたつくりは、まるで異国にいるような気分に。自然が豊かで何を食べてもおいしいということもありますが、東京からわずか数時間でこんな場所があるのですから、仕事も何もかも忘れて、たまにはちょっとだけでも遠出してみるものだと痛感した次第です。

山岳博物館から松本美術館まで、信濃の地を旅して。

今回の旅での戦利品。探せば東京でも買えるモノだとは思いますが、どのモノにも旅の思い出、経験が付加されるので、忘れがたい、手放せない品となるのだと私は思います。

完全プライベートな旅でしたが、どこへ行っても、洋服屋さんを回ってしまうのは私のいけないクセです。松本の後、今回は長野に寄って帰ってきましたが、松本でも長野でも開いた時間に気になった洋服屋さんを回って、いつもながらの宝物探しを楽しみました。

松本の馴染みになった店では、東京では売り切れで手に入らなかった服が偶然見付かり、それも7枚仕入れたうちの最後の1枚が私にジャストフィット。「一期一会、これは買わねば」と即決。50年振りぐらいの長野では、訪ねた店のスタッフと仲良くなり、洋服談義をした後、素性を明かしたら、そのスタッフが偶然にも大学の後輩という幸運。長野市内で見るべきショップ、美味しい店などを詳しく教えてもらい、地図まで書いてもらい、再会を約束して別れました。これだから旅は楽しいのです。

さて今年はどこに行こうか。そう考えるだけでも楽しいし、ワクワクしてくる。その時点から旅はもう始っているのだと思います。